2020年型 ＹＺ２５０ＦＸ の発電量をアップする

関西にお住いのラリーストからの依頼。池町くんの紹介です。
ラリー競技は夜間走行も多く、４０Ｗほどの消費でバッテリーが上がるらしい。
これを何とか改善して欲しい、というのが今回の依頼内容。

使っているヘッドライト。上２灯が２４Ｗでロービーム。リエゾンはこれで走るので、とりあえずバッテリー上りはない。
下の４灯で４０Ｗ、この４灯だけでバッテリーが上がるそうだ。ＳＳでは６灯全て使うので、不安を抱えながら走行。
長いＳＳだと、そりゃ心配ですよね。

送ってもらったステーターの写真。CRF450Xよりやや大きめか。
たくさん巻いてあるけど、これで足りないのだろうか？
少々不思議に思ったが、とりあえず送ってもらう事にした。

実際に届いたステーター。ケースカバーごと送って貰った。
１２極あってそれぞれ一杯に巻いてある！どうしてこれで足りないんだろう？

フライホイールも送って貰ったが、普通である。

が、解いてみて納得した・・・というか、巻き数が異常に多いことが判明！？
これまでの経験からすると、ここまで沢山巻いてあるのを見たことが無い。

ステーター自体が沢山巻けるサイズになっていて、巻けるだけ巻けば当然巻き数は増える。
巻き過ぎによる抵抗値増加で電圧が上がらないのでは？
（実は解く前の抵抗値を計り忘れていた！）

この辺のこと、メーカーだったら分かっているんじゃないか？？
何とも釈然としないまま、自分的に納得のいく方法で巻き直すことに。

巻き始める前に、この巻き跡のギザギザを何とかしなければいけない。

通常はやすり掛けして均すのだが、硬すぎて埒が明かず、
ナイフで丁寧に削ってからやすり掛けする。
この作業が思った以上の負担で、時間がかかってしまった！

巻き過ぎてるのなら、巻き数減らせばいいんじゃない？と誰でも思うところだが、
考えた末、並列に２系統巻いて１極当たりの巻き数を確保し、電流量も増やす仕様にした。

という訳で無事巻き終わりました。１極当りの巻き数を十分確保しつつ、
全体の巻き数は減って理想に近くなり、電流量はノーマルの１．４倍に。
これで抵抗値は減り、電圧も充電量も増える筈。

ハーネスと結線して抵抗値を計測。
ノーマルの抵抗値を計り忘れていたが、大幅に減ったのは間違いない

これでオーナーさんに返送し、テスト結果を待つことにします。
きっと期待に沿えると思う仕事人です。

巻き不足で出力が上がらない、というのが普通なんだけど、
これまでに経験のない巻き過ぎ！？と思えるステーター！
興味深く仕事させて頂きました。

オーナーさんのテスト結果です ↓

巻き直し前は下４灯（43W）でバッテリー上るという事でしたが、
巻き直し後は、６灯（63W）全部点灯しても12.5V以上を維持しています。
普通に走っていれば、バッテリーが上がる事は無いでしょう。

しかし仕事人としては、もう少し好データを得られるのではと、期待していました。
レギュレーター出力とバッテリーの＋を直接繋ぐようにアドバイスしていたのだけど、
ハーネスの都合でできないらしい（詳しく聞いてない）。
これが出来れば、まだ改善するかも知れません。

巻き直し工賃は、税込￥26400 です。